人事経験者が語る、面接で評価が下がる4つの転職理由
中途採用を担当していると「まだ転職意思が固まっていない」「とりあえず受けに来ただけ」という候補者の方に出会います。
ご本人としてはもっともらしく話していますが、質問への回答がちぐはぐであったり、思いつきで話しているのは想像以上に相手に伝わるものです。
仮にスキルや経験面が十分な方であっても、転職理由がネガティブであったり、何となく応募してきた人は採用できません。
この手の失敗は転職活動を始めて間もない頃は誰にでも起こりがちなので、予めパターンを押さえておけばチャンスを台無しにせずに済みます。
そこで、今回は転職理由のNGパターンをご紹介していくので、是非、反面教師としてご活用ください。
1.退職理由を転職理由として話す
「転職を考えたきっかけは何ですか?」と問われたときに、今の会社を辞めたいと考えた理由を話してしまうケースがあります。
候補者からすると転職のきっかけが、今の会社を辞めいたいと思ったことなのは紛れもない事実でしょう。
しかしながら、面接で転職理由を聞いているのは「新しい環境でどのようなチャレンジをしたいか?」を知るためです。
質問の意図をくみ取れずに、退職理由だけを話せば当然に評価は下がります。
面接中の質問は「候補者を採用する理由があるかどうか?」をチェックするためのものだと押さえておきましょう。
転職理由を効率よく整理したい場合は「面接で言いづらい本当の転職理由をうまくまとめる秘訣とは?」を確認しておきましょう。
2.現状への不満が全く含まれない転職理由
これは一つ目のケースと真逆で、ネガティブな気持ちが全くないというアピールが過ぎれば裏目に出ます。
今の仕事に全く不満がないにも関わらず環境を変えたいというのは論理矛盾があります。
ポジティブな表現は大事ですが、度が過ぎると怪しくなるので、面接用に取ってつけた理由を作るのはやめましょう。
ネガティブな状況に対して、自分なりの対処を重ねた結果、環境を変えるのがベストだという結論に至ったというのが適度なポジティブさでしょう。
バランスが取れた退職理由例
- 「目標を達成しているのに昇給がない」
- 「キャリアチェンジをしたいが社内公募の仕組みがない」
- 「英語を使いたいが外国人と関わる場面がない」
3.前向きさをひたすらPRする転職理由
中途採用は、既存のメンバーでは不足しているスキルや経験を社外から調達し、事業の成長速度を高めていく活動です。
新しいメンバーを採用するからには、前向きさでチームに新しい風を吹かせたいですが、大前提はスキルと経験を十分に持ち合わせていることです。
特に、畑違いの仕事や1ランク上のポジションにチャレンジしたい場合は、基本的な実務スキルと地頭の良さを認めてもらえない限りチャンスは得られません。
自己PRを考えるポイント
<20代後半まで>
実務経験が少なくても英語力、論理的思考力、ハングリー精神などのポテンシャル要素が武器になります。
他職種でも応用可能なスキルや仕事の仕方をPRできれば前向きさはプラスに働きます。
<30代以上の場合>
応募先に応用可能な過去の経験をPRできるかが勝敗を決します。
前向きさは大切ですが、結果が真っ先に問われる前提でPRしましょう。
いずれの場合も「新たなチャレンジをしたい理由」「横展開可能な経験談」を具体的に話せるようにしましょう。
4.そもそも自発的な転職理由がない
転職を考えたきっかけとして信頼できる第三者のアドバイスというのはあり得ますが、それだけを理由に転職に踏み切るのはやめましょう。
転職エージェントのスカウトがきっかけであっても、「そのきっかけを通じて何を得たいと思い応募したのか?」を自分なりに整理する必要はあります。
詳しくは「転職でも面接時のマナーは重要。思わず不採用にしたくなる3つのNG行動」をご覧ください。
あなたのキャリアを真剣に考えてくれる相手であれば、転職動機が漠然としている段階で転職を勧めることはまずありません。
ワンポイントアドバイス
もし転職意思が固まっていない段階で、応募を勧められた場合は、はっきりと断りましょう。
再応募までに1年や1年半の制限をかけている会社もあるため、数か月後に本格始動したときに応募できなくなるリスクがあります。
まとめ
転職すれば、ゼロから社風や社内ルールに適応する必要があるため、最初の数ヵ月は緊張の連続です。
そこで、過去のキャリアに対して未練ない状態になっていなければ、「前の会社のほうが仕事をしやすかった」と後悔することになりかねません。
そのため、新たな環境で結果を出し続けるためには以下の3つのうちのいずれか1つは必要です。
- 専門知識を伴う実務経験
- 課題解決力や英語力などの汎用スキル
- 個人に紐づく人脈
今回、ご紹介した転職理由がNGである共通した理由は「環境を変えるリスクを過小評価している」点です。
新たな環境で仕事をゼロから組み立てることの大変さも理解したうえで、転職理由を組み立てられるようにしましょう。