ドラマBiz「ヘッドハンター 転職の案内人」で人材ビジネスの裏側を理解する
今回のトピック一覧
ヘッドハンターと転職エージェントの違いとは?
つい先日にたなか部長から聞いた「Missデビル 人事の悪魔・椿眞子」というドラマが始まる話を聞いたばかり。
このドラマは「経営者、人事部、人事コンサル、新入社員」の関係性が描かれています。この関係性は、若手人事や人事へのキャリアチェンジを目指す人は知っていて損がない内容でした。
詳しくは「ドラマ「Missデビル 人事の悪魔・椿眞子」に見る人事が必ず向き合う3つの真実」にまとめていますので、よろしければご覧ください。
転職の舞台裏を描いたドラマも週明け(4/16)に始まるようで、たなか部長に早速連絡しました。
たなかさん、Missデビル 人事の悪魔・椿眞子の初回見ましたよ!現実にもありそうな描写でハラハラしました。実は、今クールはテレ東でも人事関連のドラマがあるみたいです!
やっしー
そうなんだーどんなドラマなのかな?
人事部長のたなかさん
「ヘッドハンター転職の案内人」というタイトルで、大手人材エージェントとサーチファームの対立が描かれるみたいです
やっしー
なるほどーそれは面白そうだね!登録型の転職エージェントでも、ヘッドハンティングと銘打っていて、本来の感覚とずれてきちゃっているなと感じていたんだよ
人事部長のたなかさん
同感です。カントリーマネージャークラスで、年収水準も3,000万くらいの人を他社に引き抜くのがヘッドハンターのイメージだったので。
やっしー
そうそう。外資系転職エージェントはコールドコール(=アポなしの電話)で「ヘッドハンティングのお話です」と連絡してくるから、受け手もヘッドハンティングと感じてしまうんだろうね・・
人事部長のたなかさん
そうですよね。ヘッドハンティングと言われて悪い気はしないですよね。このあたりがこのドラマでどう描写されるのかに注目しています。
やっしー
ここでは人事がイメージするヘッドハンターと転職エージェントの違いを簡単にまとめます。
一般的な呼ばれ方 | 特徴 |
転職エージェント |
|
ヘッドハンター |
|
ダイレクトリクルーティングが広まり、中途採用の競争は激化
最近は、転職エージェントに仕事を依頼せずに自社で中途採用を進める会社も増えてきました。
こういった中途採用のトレンドを知っておくと転職活動をデザインしやすくなります。
転職エージェントや中途採用担当に転職するわけでなくても、最低限の知識は手に入れておきましょう。
転職エージェントとの付き合い方については「転職結果に差がつく転職エージェントとの付き合い方3つのポイント」でご確認ください。
中途採用に関わる人はターゲット人材をいつも狙っている
今回のドラマの相関図は業界の競合関係を理解するのに最適です。
この図から、転職斡旋サーチ会社(ヘッドハンティング会社)と最大手転職エージェントとの競合関係が見て取れます。
(テレビ東京HP「ヘッドハンター 転職の案内人」キャストページ(相関図)より)
先ほど触れた通り、本来、ヘッドハンティング会社は通常は転職エージェントとは異なるレイヤーの人を対象にしています。
そのため、主戦場は異なります。ただ、人材の獲得競争が激化しているため、ミドルクラス(管理職)を対象に動く会社も出てきます。このご時世は、転職エージェントと競合関係になってもおかしくありません。
また、最近ではダイレクトリクルーティングに力を入れる会社も増えてきているので、中途採用の競争は厳しくなる一方です。
人材争奪戦は厳しくなる一方
転職市場は売手市場の傾向が強くなっています。そのため、サーチファームが対象とするプロ経営者や経営幹部だけでなく、幹部候補(マネージャー・リーダークラス)の人材争奪戦も熾烈になっていくのは容易に想像がつきます。
実際に以下のグラフを見ると、リーマンショック後の就職難の時期と比べて、有効求人倍率が3倍の水準になっていることがわかります。
(厚生労働省HP「一般職業紹介状況(平成30年2月分)」より引用) ※コメントは筆者追記
さらに東京における人材争奪戦の激化が進んでいることが以下のコメントからわかります。これは東京では就職がしやすい状態になっているともいえます。
都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、就業地別では、最高は富山県の2.17倍、最低は北海道の1.25倍、受理地別では、 最高は東京都の2.09倍、最低は沖縄県の1.14倍となりました。
(厚生労働省HP「一般職業紹介状況(平成30年2月分)」より)
札幌でウェブデザインの職業訓練校に通っていたのですが、隣の席にいた20代半ばの女性は東京でデザインの仕事に就きました。転職は「職種×地域」で考えないと目測を誤るので要注意ですね
やっしー
中途採用はスピード勝負!1分でも早く候補者に接した者勝ち
人材ビジネスでは、先にコンタクトをとった会社が候補者の紹介権を獲得するという暗黙のルールがあります。
さらに、外資系転職エージェントは期間に関するルールを設けるところもあります。具体例としては、「過去1年以内に紹介された候補者を採用した場合は、成功報酬を支払わなければならない」というものです。
へー、そんなルールがあるんだ。うちは日系の転職エージェントとの取引しかないから初めて知ったよー
人事部長のたなかさん
これは実体験がありまして。ダイレクトリクルーティングを立ち上げている時にこのルールにヒットして高額な報酬を払ったことがありました。
やっしー
どうしてそうなっちゃったの?
人事部長のたなかさん
私の入社前に紹介されていたようです。書類選考でサクッと落としてしまい、前任者も覚えていませんでした。もちろん候補者もエージェント経由で応募したことは何も触れず・・
やっしー
なるほど、それは気づかないね・・それを聞くと、候補者に過去1年以内にエージェント経由で応募した場合は、再応募NGというルールを設ける会社があるのも納得がいくね
人事部長のたなかさん
その後、私も過去の応募歴を確認し、調べるようになりました。ソーシングから全て一人で進めたのに高額の費用を取られるのは全く割りに合わないので。
やっしー
本当にそれは、しんどいね。うちもダイレクトソーシングを立ち上げたいと思っていたところなので、To Doリストに追加するよ
人事部長のたなかさん
このように1秒でも早く候補者に接した者が勝つというのが中途採用の世界の暗黙のルールです。
転職経験がある人で「なぜ応募を急かしてくるのか?」と疑問に思ったり、不快に感じたことがある人に多々出会います。その理由はこのルールが存在するためです。
まとめ
人材サービスの業界はプレイヤーが非常に多く、競合がとても多い環境にあります。平成27年度の厚生労働省の発表によれば、有料職業紹介事業者数は、1,300万社を超えています。
求人の数が増えても、これだけ多くの会社が競っているので、各社の生き残りは容易ではありません。そのため、一人の採用を競って、多ければ十数社がバッティングすることもあります。
さらに、海外から外資系エージェントの参入や採用代行サービス(RPO)も増えてきており、ますます中途採用の業界は競争が激化していくでしょう。
中途採用の業界はこれからも日系、外資系の垣根を超えた競争が続いていきます。特に外資系人材の不足はさらに顕著です。もしビジネスレベルの英語力を身につければさらに転職のチャンスは広がるでしょう。
やっしー
日本だけでなく、グローバルで人材サービスを提供する会社の統合・買収が近年続いています。
直近の統合、買収例
- リクルートのIndeed買収(2012年)
- コーン・フェリーによるヘイグループ買収(2015年)
- タワーズワトソンとウィリス・グループ・ホールディングスの合併(2015年)
- テンプスタッフとインテリジェンスの経営統合→パーソルグループへ(2017年)
人材ビジネスの大きなうねりを知っていれば転職でチャンスを掴みやすくなります。大きなトレンドには、アンテナを張っておきましょう。