経験者が語る仕事を辞めてからの転職活動のメリット・デメリット比較

在職中の転職活動の場合は、希望条件に合致する仕事がなければ、転職を先送りにできるので条件交渉も強気で進めやすく、メリットを感じやすいです。

 

一方で、仕事を辞めてからの転職活動の場合は、ブランクを最低限に留めなければ生活費の不安や書類選考で不利になるといったプレッシャーがつきまといやすいです。

それでも、転職理由がリストラや業務過多等の場合は、仕事をしながら転職活動を進める選択肢はないですが、これは必ずしもデメリットだけではありません。

 

そこで、今回は、仕事を辞めてからの転職のメリット・デメリットを実体験にもとづいてまとめていきます。



メリット1:企業研究やキャリアの棚卸しに時間を割ける

人事直伝!転職の最終面接までに必要な企業研究方法を完全解説」で紹介している、①口コミ情報、②決算情報、③組織構成などを調べてから面接に臨めるのが理想ですが、仕事をしながらの転職活動の時には割愛せざるを得ません。

 

また、キャリアの棚卸しも、履歴書・職務経歴書を更新するだけで精一杯になってしまうでしょう。

 

一方で、退職後の場合は、時間的な余裕に加えて、自分のキャリアを客観視する心のゆとりを持ちやすいメリットがあります。
(図1:実際に自分自身で作成していたキャリアの棚卸しシート)

 

上図は、1社目を退職後の半年のブランク(※1)やフリーランスの活動など、書類選考段階でネガティブに働く複数の要素があることを自覚していたため、スキル・経験ベースで評価してもらえるように作成したものです。

 

このような振り返りを在職中に一人で進めるのは難しいことが多いですが、完全に転職活動モードになれば、一気に整理できるものです。

 

なお、棚卸しの進め方は、レジュメのように文字だけではなく、図1のように経験年数やスキル・経験のポートフォリオを見える化するスタイルがオススメです。

 

(※1:半年の転職活動の詳細は「はじめての転職で書類選考から大苦戦。内定まで半年間の活動記録を全公開」をご覧ください。)

 

メリット2:複数の面接を同時並行して、慎重に会社を選べる

平日の日中に面接に行く時間が取れるため、1日に複数社の面接を受けられるのは大きなメリットです。

 

今後のキャリアアップにつながる経験を積めるベストな環境を選ぶには、5社から10社程度の面接を受けておきたいところです。

 

1次面接、2次面接で採用部門長と話し、業界情報や各社の組織構成を把握できれば、社風とキャリアの方向性が合致する会社を選びやすくなります。

 

なお、面接対策については「転職活動は1次、2次面接までが勝負。面接官のチェックポイントとは?」をご覧ください。

 

メリット3:入社日で他の候補者に差をつけられる

一般的には、中途採用のポジションはオープンした時点で、1日も早く埋めたいと考える会社が多いです。

 

そのため、経験・スキルが同レベルの候補者2名がいる場合は、入社可能日が早い人が採用されます。

 

差をつけるためには、下記2点を考慮して、オファー後1、2週間での入社が可能であることをアピールしておけば十分でしょう。

 

  • 一般的には就業規則で1ヶ月前の通知を義務づける会社が多い(民法上は、雇用契約の解約通知は2週間で足りる規定がありますが、もめない限りは就業規則に従うべきでしょう)
  • 採用企業側は喧嘩別れをしてでも、入社日を前倒して欲しいとは考えないのが通常(「過去の人脈を活かしての活躍してもらたい」という期待値があるため)

 

「ブランクを長期化させたくない」という気持ちは採用企業には、プラスに映るので、志望度と関係なくセールスポイントとして意識的に活用することをオススメします。

 

デメリット1:収入面のプレッシャーから内定獲得を焦ってしまう

退職後は安定収入が無くなることに加えて、社会保険料の負担増(※2)、住民税の一括納付(時期による)などの支出が目に入り、ストレスになりやすいです。

 

一人で転職活動を進めていると煮詰まりやすいので、昔の同僚や先輩などとの食事や飲み会などでの息抜きを心がけましょう。

 

可能な限り、早く収入を安定させたいところですが、焦って入社を決めて、ミスマッチになれば、近い将来に再度転職活動をすることになりかねません。

 

そういった事態を予防するために「転職を内定承諾後に後悔しないために必ずチェックすべき5項目」もチェックしておきましょう。

 

(※2:社会保険の詳細は「転職の時に知らないと損をする社会保険のこと」をご覧ください。)

 

デメリット2:条件交渉を強気で進めづらい

もうひとつのデメリットは、オファー段階で給与の交渉をするときに年収アップの希望を伝えづらくなる点があります。

 

在職中であれば、希望年収に達しなければ辞退しやすいですが、安定収入が欲しいときには現状維持のオファーでも断りづらい状態になります。

 

この課題を解消する唯一の策は、複数のオファーをもらうことです。現職との比較ができなくても、複数のオファーがあれば交渉の材料として十分に活用できます。

 

まとめ

仕事を辞めた後の転職のメリットを活かすには、スピーディーに多くの案件に応募することが最重要です。応募を悩んでいるとあっという間に1、2ヶ月ロスしてしまいます。

 

1、2ヶ月のブランクは程よいリフレッシュになりますが、3ヶ月以上に長引くと書類選考や面接結果に響いてきます。

 

この点を考慮し、退職後1、2週間でリフレッシュをしたら、次の1、2週間で一気に応募し、2ヶ月目には面接に進めるスケジューリングをオススメします。

 

一定の活動量を確保すると転職の優先順位が見えてくるので、関心がわいた案件には積極的に応募し、活動量では妥協しないようにしましょう。

 

長いスパンで見たときに、仕事を辞めてからの転職のデメリットは、ほぼ無いに等しいと感じるので、心配無用です。



Shin@多国籍組織づくりサポート: 企業人事として早10年、日系ベンチャーや外資系企業で人事系の業務改革や立ち上げに従事。模範的な会社員の働き方が体質に合わず、独立、Iターン転職@札幌、オール外国人の日本法人の立ち上げなど、一度きりの人生なので常に全力投球をモットーに活動中。