面接で失敗しない転職理由をサクッとまとめる7つの手順

転職相談を受けるなかで、面接結果が思わしくない方に共通するのが転職理由の説明で損をしている点です。

具体的には、「過去の職場の批評が多い」「転職の優先順位が定まっていない」という印象を面接官に持たれてしまい、NGになっています。

 

候補者側は経験・スキルがマッチしていればチャンスがあると考えがちですが、採用側はパーソナリティに不安があれば採用しません。

 

そこで、転職理由の整理不足を解消するための3つのゴールと6つのアクションをご紹介していきます。



STEP1:転職のNG条件をまとめる

前向きな転職理由は大切ですが、それ以上に大切なのは避けたい環境を明確にすることです。

 

根本的に相性が悪い場合は、転職後に軌道修正ができずに、短期間での退職につながりやすいためです。

 

最悪の事態を避けるには、過去の勤務先で「もう二度と経験したくない」と感じた出来事を整理し、似た要素を持つ会社を意識的に避けることが重要です。

 

具体的には以下の3つの手順でNG条件をクリアにしましょう。

 

手順1:嫌だった出来事TOP3を洗い出す

仕事をしていれば、人間関係や仕事の進め方などで嫌な思いをすることは数えればきりがないでしょう。

 

それでも、喉元過ぎると忘れていたり、結果的にタフさを磨くことにつながったり、と必ずしもネガティブな経験にならないものです。

 

ここでは、そのようにプラスになることなく、トラウマのように嫌な思い出になっている経験を3つリストアップするのがポイントです。

 

嫌だった出来事TOP3例

<ケース1>

既存客へのサービス提供レベルが低く、クレームが重なっているにもかかわらず、解決策を講じずに新規開拓に走る
 

<ケース2>

達成が不可能なレベルの高い目標が設定され、未達成の度に、激しく詰問される。
 

<ケース3>

目標を達成したら年収アップの約束が守られず、2年間現状維持が続いている。

 

手順2:それぞれの出来事の要因を考える

二度と経験したくない出来事が起きないようにあなた自身で転職先を見極める必要があります。

 

そのためには、「過去の出来事の原因となった要素を応募先が持っていないか?」を選考プロセスでチェックすることが重要です。

 

そのために、手順2では以下の例のように出来事の背景や想定要因を洗い出していきましょう。

 

出来事の想定要因

<ケース1の要因>

短期的な成長を急ぐあまり、①既存顧客との信頼関係を犠牲にし、②度重なるクレーム対応に追われて現場が疲弊していることに気づいていない。
 

<ケース2の要因>

経営幹部が目標を達成するための具体策を持たずに、現場に目標をそのまま落とし込み、プレッシャーをかけて何とかしようとする社風が定着している。
 

<ケース3の要因>

経営目標を達成時の収益を社員に還元するよりも、高い利益率を市場に誇示したい経営者の思惑が一人歩きして、社員の不信感を招いている。

 

なお、要因の洗い出し方は「徹底解説!「転職に失敗した」と後悔した時の対処方法 【ブラック企業編】」でご確認ください。

 

手順3:嫌悪感が強かった理由を整理する

仕事をしていて「受け入れがたい」と感じる感情の裏側には大切にしている仕事観が隠れています。

 

そのため、この感情を無視してしまえば、環境が変わっても、過去と同じ課題にぶつかることになります。

 

そこで、手順2で整理した理由が受け入れられなかった理由を以下のように整理しましょう。
 

NG理由例

<ケース1のNG理由>

自分を信頼してくれているクライアントを裏切る活動に加担することへの罪悪感に耐えられないため。
 

<ケース2のNG理由>

理不尽な目標設定、パワハラで部下に責任転嫁する社風は公平性を大切にする自身の価値観と相容れなかったため。
 

<ケース3のNG理由>

あまりに給与水準が低いため、将来のキャリアアップのために借り入れが必要な状態になったため。

 

あなたの中から湧き出した感情は、仕事観やモチベーションのエンジンを知る貴重な情報源なので、しっかりと活用しましょう。

 

STEP2:自己PRにつながる経験・スキルをまとめる

2つ目のポイントは「過去に在籍した会社だからこそ得られた経験や成長できた点」を洗い出すことです。

 

最初にネガティブな理由を整理したので、次は過去の職場でなければ得られなかったこと(ポジティブな側面)を整理していきます。

 

このプロセスも以下の手順に沿って、まとめておきましょう。

 

手順4:経験・スキルのBefore/Afterを整理する

ここでは感情面を一度脇に置いて、入社前と退職段階での経験・スキルの比較することが重要です。

 

「在籍期間でどのような経験を積み、スキルアップできたのか?」を整理して自己PRに盛り込むようにしましょう。

 

経験・スキルのBefore/After比較例

<Before:入社時>
  1. 人事未経験
  2. 全社系プロジェクト経験なし
  3. 法律知識なし
<After:約3年後>
  1. 人事業務全般を経験
  2. 全社系のプロジェクト(規程改廃、人事制度企画・運用等)を経験
  3. 法務と連携した労務課題解決の実績

 

待遇面に問題があり、退職することになりましたが、短期間で未経験から全社案件をこなせるようなったのは転職時に大きな武器になりました。

 

<後日談>

結果的に次の転職では結果的に年収が100万円以上アップしました。
この会社に在籍していた3年弱は自腹で専門書を購入したり、勉強会、セミナーに参加し、大赤字でした。それでも、目先の給料よりも短期間で集中的に実務経験を積む方針が功を奏したので結果オーライでした。

 

手順5:反面教師として活かせるポイントを洗い出す

短期目標を優先して、既存顧客へ契約通りのサービスが提供できていないくても改善策を講じない会社での仕事は、短期間で心身ともに疲弊しました。

 

反面教師として学んだこと

<急成長ベンチャーでの勤務経験>
  • 社員への分配なきコストカットはしらけた組織をつくる
  • 経営者がカルチャーづくりに先陣をきらないと徐々に大企業病に陥る
  • 実務に弱い上司のもとで苦労した仲間は退職後も大切な戦友になる

 

逆境で得た経験・気づきはあなたのコアな仕事観を知るヒントになるので、これまでの職場が理想的な環境でなくても、振り返ってみましょう。



STEP3:転職のMUST/WANT条件を決める

最後は、手順5までに洗い出した内容をもとに、今回の転職で必ず実現したい(MUST)テーマと願わくば実現したい(WANT)テーマを整理します。

 

具体的には、以下の手順に沿って落とし込みましょう。

 

手順6: MUST条件を決める

MUST条件は手順3(NG条件)の裏返しとなる条件になるよう整理することが重要です。

 

というのも、適性がない仕事に無理に適応しようとすると燃え尽き症候群やうつ病になるリスクが高まるためです。

 

特に以下の2点の相性は転職理由(応募理由)に盛り込めるようにチェックしておきましょう。

 

必須のチェックポイント

  • 自分自身の仕事観と社風
  • 経験と期待される業務内容

 

以下の転職を考える場合は、仕事の仕方が根本的に変わるため、「転職理由を実現できるか」を面接でしっかりと確認できるようにしましょう。

  • キャリアチェンジ
  • 企業規模が異なる会社への転職
  • 異業界への転職

 

主なチェックポイントは「中小企業から大企業へ転職で失敗しないために知っておきたい3つのこと」をご参照ください。

 

手順7:WANT条件を決める

WANT条件はMUST条件をより具体的にイメージし、理想的な条件(年収500万以上、英語を使いたい等)を設定することをオススメします。

 

年収や仕事内容を幅広く選べる数少ない場面なので、理想の条件に近づけられるようにベストを尽くしましょう。

 

転職エージェント経由の場合は交渉しやすいですが、直接応募の場合は、自分自身で希望を効果的に伝えられるように準備が必要になります。

 

交渉方法は「転職に成功する人が実践している年収交渉術【直接応募編】」を参考に組み立てましょう。

 

まとめ

何かを「やりたくない」「辞めたい」という気持ちの裏には前向きな気持ちが生まれるヒントがあります。

 

ここまで整理できると面接では「大切にしている仕事観」と「次の職場への期待」を含めた志望理由をバランスよく語れるようになっていきます。

 

今回ご紹介した7つの手順は、入社後のミスマッチのリスクを低減するためにも、欠かせないポイントです。

 

これまでの勤務経験のプラス面、マイナス面それぞれから得た学びを活かして、新たなチャンスを掴み取りましょう。

Shin@多国籍組織づくりサポート: 企業人事として早10年、日系ベンチャーや外資系企業で人事系の業務改革や立ち上げに従事。模範的な会社員の働き方が体質に合わず、独立、Iターン転職@札幌、オール外国人の日本法人の立ち上げなど、一度きりの人生なので常に全力投球をモットーに活動中。