海外で仕事をしてみたい!現地就職のリスクとは?

海外で活躍している日本人の特集をテレビや雑誌で目にすると、つい憧れの目で見てしまいますが、実際は相当に過酷な状況を生き抜く必要があります。

 

日本よりもワークライフバランス重視ですが、一方で、結果至上主義で会社の業績、個人業績が期待に達しなければ、リストラやレイオフが当たり前に起きる環境です。

海外でチャレンジをしようと考えると英語、ビザなど壁が次から次に現れてきます。海外在住経験ゼロから海外で就職するのは至難のわざです。

 

そのため、多くのケースが海外のビジネススクールでMBAを取得して、現地就職するところから海外でのキャリアをスタートといった何からの準備をしています。

 

華やかなイメージが先行しやすい海外勤務の実際のメリット・デメリットを今回は検討していきます。



海外勤務をする前に知っておきたい海外のビジネスパーソンの働き方

自由のアメリカ、技術の国ドイツなど先入観を持ってしまいがちですが、実態は異なることが多いのが実情です。

 
現地で生活したことがある人から十分に情報収集をしなければ、海外就職の成功は難しいです。特に押さえておきたいのは、ワークスタイルの違いです。

 

長時間労働は美徳ではない

欧米ではエグゼクティブを除いては定時で仕事を終えることが一般的です。繁忙期以外でも、残業を当たり前にしている人は生産性が低い仕事をしていると見られてしまいます。

 

日本人はプライベートな予定は「仕事が片付いたら」と条件付きで参加することがありますが、欧米人は堂々とプライベートの予定に合わせて仕事を組み立てます。

 

休暇はいい仕事をするうえで重要な要素

家族や友人との充実した時間を過ごすことで心身の状態を良くして、いい仕事をするという考え方をします。休暇を取得するのに「ご迷惑をおかけします」という気持ちで休みを取ることは少ないでしょう。

 

日頃、ハードワークの人でも数週間単位での休暇を取ることは珍しくありません。人に仕事を紐づけがちな日本企業とは異なり、ポジションに仕事を紐づける海外の企業は役割に応じて担当業務が明確です。

 

そのため、自分でなければ出来ない業務は他のひとに任せて、オフを満喫できます。

 

英語力があれば何とかなる?

「海外へ転職した場合、キャリアアップのための基盤は何ですか?」と周囲にいる海外で成功したビジネスパーソンに意見を聞いたところ、上位にあげられるのは以下の3つでした。

 

      1.同僚とのコラボレーションする力
      2.相手(クライアント)の意思を読み取るスキル
      3.問題解決力

 

これらのスキルは会社が組織として結果を追求している以上はどの国で働くにしても求められます。語学力は大前提ですが高い汎用スキルは欠かせないです。

 

語学力だけでは通用しないのが現実

最低レベルの語学力がないと仕事に支障が出てしまいますが、同時に磨いておかなければならないのが相手に伝わるコミュニケーションスキルです。

 

具体的には会議での発言の仕方、関係者の仕事への巻き込み方などです。これらは正解はなく場数を踏みながら勘を磨いていくしかありません。

 

例えば、同じ英語ネイティブの国で働いたとしてもイギリス、アメリカ、オーストラリアでは会話の間の取り方や表現のストレートさはまるで違うので、コミュニケーションを取りながら学び取る以外に近道はありません。

 

語学は当たり前。担当業務のパフォーマンスがシビアに問われる

日本とは異なり雇用の流動性が高い海外ではレイオフが当たり前に起こります。常に担当ポジションにおいて最適な人材であると証明できていなければ、クビになる可能性があります。

 

また、社風(カルチャー)との相性も日本企業以上に重要な要素としてチェックされます。

 

例えば、Googleのようなアメリカ西海岸のIT企業と東海岸のウォール街で力を持つモルガンスタンレーのような金融機関とでは、国が変わる以上の社風の差があるので、結果を出すためにはカルチャーとの相性は何より大切になります。

 

この視点から見ると、海外にいきなり移るよりは、日本で特定の分野のプロとしての力をつけたうえで、現地就職や本社が海外の会社で本社勤務を目指す流れびほうが海外に急に移り住むよりもキャリアを築きやすいです。

 

海外就職に踏み切る前に外資系の日本支社(理想はスタートアップ)で働いてみるのがベター

「海外で働いてみたい」「何でもいいので海外で仕事をしてみよう」というプランでは、日本でも海外でもキャリアアップにはつながりません。

 

日本の外資系企業での経験を積むためには以下の2つのポイントを押さえておきましょう。
クビを恐れてはいけない。外資系企業への転職で失敗しないための心得
日系企業から外資系への転職で何が変わる?面接までに知らないとまずい最低限の違いまとめ
 

一方で、どの分野でプロとして生きていくのかを明確にしたうえで幅広い経験を積み、日本に新たな価値を生むことができれば海外で働いたことがキャリアアップに貢献してくれるでしょう。

 

  • 金融のプロになるのか
  • ITのエンジニアになるのか
  • パティシエになるのか
  • カフェのオーナーになるのか

 

キャリアは想定外のところから花開くことがあるので、チャレンジは大切ですが、少し調べればわかることを調べずに飛び込んで成功するほど甘くはないと心得る必要があります。

 

まとめ

日本人としての最大の強みは「日本でビジネスをしたいが、日本の商慣習がわからない」という外国人相手に発揮できるものです。

 

一方で、現地採用を目指すというのは、日本人としての最大の武器を捨てて、ローカルの人たちと渡り合うということです。

 

この利点を捨てて、海外に打って出るのが海外就職です。チャレンジを決めるときはその覚悟を持って、海外転職を支援しているエージェントや転職サイトに登録することからアクションを始めましょう。



Shin@多国籍組織づくりサポート: 企業人事として早10年、日系ベンチャーや外資系企業で人事系の業務改革や立ち上げに従事。模範的な会社員の働き方が体質に合わず、独立、Iターン転職@札幌、オール外国人の日本法人の立ち上げなど、一度きりの人生なので常に全力投球をモットーに活動中。