労働人口が年々縮小していくなかで、男性主体の組織ではなく、女性が活躍できる環境を作ることが優れた企業の条件になってきています。
ところが、残念ながら、The Huffington Post記事「【女性管理職ランキング】日本は中国以下の96位 フィリピンはトップ10入り」で取り上げている通り、日本は残念ながら、女性管理職の登用は中国よりも遅れているというのが現実です。
海外では女性の管理職にとどまらず、社長、首相など組織のトップに女性が立つことはめずらしくないなかでこの状態は先進国のなかでも大きく遅れをとっています。
それでも、少しずつ女性管理職は増えており、今後もこの流れは加速していくでしょう。そこで、今回は女性管理職を目指す人の転職をテーマに3つのトピックを取り上げていきます。
管理職になった後のことは「女性管理職になって直面した6つの悩みと効果的な対処法」でご確認ください。
今回のトピック一覧
女性の管理職候補の採用ニーズは高まっていく
日本の組織の管理職は依然として男性がメインです。特に、女性管理職の前例が少ない会社で管理職を目指すのには勇気がいります。
それでも、IT企業を中心とした先進的な技術・サービスを展開する企業は人材の多様性が持続的成長のために必要不可欠だと気づいています。そこで、まず最初に取り組み始めるのが女性の登用です。
ところが、女性管理職は外資系企業では当たり前にいるため、もたもたしていると優秀な女性が外資系企業に引き抜かれてしまいます。
これでは現場の若手の女性社員は目指すべきリーダー像が社内に存在しないことになり、ますます、日系企業のダイバーシティへの取り組みは遅れてしまいます。
こういった状況に気づいた一部の企業は女性の登用比率の数値目標を出し始めています。社内に女性が不足していれば中途採用に力を入れてバランスを整える動きが加速するでしょう。
住友生命はスミセイ中期経営計画2016(該当リリース)のなかで、バックオフィスの管理職の1/3を女性にしていく方針を打ち出しています。
先例にとらわれず、社外の女性リーダーをロールモデルにする
マネジメント層へのキャリアップを狙っている場合は、まずは現在、在籍している会社にチャンスがあるかどうかを探ってみましょう。
今の会社にロールモデルがいない場合は、社外の交流会や勉強会に出向き、理想的なキャリアを実現している人に出会えるまで行動しましょう。
終身雇用が前提ではない時代なので、自分自身が望むキャリアを実現するためには、環境を変えることもひとつの選択肢として持っておくことが大切です。
たくさんの人と出会い、いろいろな話を聞いたりすることは自分自身でもイメージしていなかった新たな選択肢が見つけるうえで最も有効な手段です。すぐに結果を求めずに、出会いや発見を楽しみながら継続することが大切です。
管理職候補の人材として転職するための3つの準備
はじめから管理職として完璧な振る舞いができる人はいません。。役割に戸惑ったり、周囲から応援をなかなか得られないのは当然です。
そのなかでも、女性が少ない環境で管理職にチャレンジするときに効果的な3つのアプローチをここではご紹介していきます。
リーダーのサポート役から管理職デビューをしてみる
よほどの古き良き大企業でもない限り、管理職が遠くからメンバーを見守るだけでいいという会社はなくなってきています。
ベンチャー企業や中小企業のでは、現場の実務を指揮できるか、完全にプレイングマネージャーとして自分でも実務を担当しながらチームのパフォーマンスに責任を持つというケースが増えています。
そのため、マネージャーは基本的に業務過多になる傾向が強いです。こういった場面で、自らマネージャーの仕事を奪ってくれるメンバーの存在は重宝されます。
このようなかたちで管理職のサポートを開始し、組織の動かし方を覚えながら、実務スキルを高めるというアプローチが取れます。
メンバーへの配慮が苦手な男性管理職のサポートをする
出産、育児をはじめとして、女性の方が男性よりもライフステージに応じて、人生の選択を迫られます。
一方で、男性は、最近でこそイクメンが増えてきましたが、それでも、家庭のことは女性に任せる傾向が強く、また、身体の面でもダメージが蓄積されづらいです。
そのため、細かな体調面の変化やライフステージの変化に伴う働き方の悩みへの対処は女性の方が配慮をするのが得意な傾向があります。
こういった強みを活かして、若手のメンバーに思いやりある言葉をかけるといった気配りだけでも、マネジメントのサポートとして機能していけます。
リーダーの時にメンバーの家族の介護や子育てでなどの悩みを知っておけば、部下のワークライフバランスを考慮して、
- 午前の会議を午後に変更する、
- 残業がなくなるように仕事の割り振りを変える
などの対策をマネージャーになった時に先手を打てるようになります。
メンバーの生産性を高めると同時に定着率を高めることにつながる施策を打てれば、会社に対する貢献は絶大です。
最低ひとつは得意分野を持ち、経営層への提案に関わる
管理職になれば、気配りだけではなく、実務面でメンバーからの相談に対応できる能力も求められます。そして、何より、現場の状況と経営者の考えをくみとりながら、チームの成果を高めていく必要があります。
実際に、十分な準備なしにこの働きをするのは非現実的なので、マネジメントやリーダーを目指すことを決めた段階で自分自身の得意分野を意識的に作ることが大切です。
マーケティングや人事、経理、営業などの分野で担当者として活動する際も、事業を成長させるという観点から自分自身の業務をデザインすることを心がけ、社内で経営層にプレゼンする機会があれば積極的に手を挙げてみてください。
まとめ
組織のサイズや業種によって、管理職に求められる役割はさまざまです。
共通するのは、組織のリーダーになる人はメンバーのロールモデルとなるために能力を磨き、実績を積むことが不可欠である点です。
この条件を満たせば、女性リーダーとして社内外からスカウトされる可能性が高まります。
先進国において、多様性に欠けた会社の成長が頭打ちになるのは明らかです。日本社会が必要としている女性リーダー目指し、是非、女性のロールモデルとして活躍していってください。