東京での経験が活かせない・・Iターン転職のピンチを乗り越えるには?

大好きな街は函館。ただ、現実的な転職先は札幌しかない。

20代後半に祖母が体調を崩してから、年に数回、函館に戻るようになった。函館空港に降り立つと不思議と毎回手の色が変わることに気づく。

 

東京にいる時は交感神経優位で血色が悪くなっていることに気づいた。やはり人間も動物だ。周辺環境次第で体調は大きく様変わりする。

 

そんな確認を毎回しながら、時間を見つけては必ずいくのがはこだて自由市場

函館駅から徒歩15分ほどのところにあり、市場の中にあるカフェで食べる自由丼とイカそうめんは絶品。

 

北海道で生活をしたいと思ったきっかけは間違いなく函館だ。それでも、人口が30万人を割り、函館駅前ですら小学生だった20年近く昔のような活気はない。

 

この状況では、どう考えても函館へのIターン転職は難しい。

転職Tips

首都圏から地方都市への転職はコネがない限りは政令指定都市クラスでないとかなり厳しい。Uターンは地元とのつながりを活かせる分マシだが、Iターン転職は高リスク。



札幌へIターン転職する方法を模索する

北海道で一番仕事がありそうなのは間違いなく札幌だろう。そう思ってまずは求人情報をチェックした。

 

過去の転職の経路はは転職エージェント経由が3回(リクルートエージェント、HAYS、Michael Page)、直接応募の場合が2回(LinkedInビズリーチ)経由だった。

 

この経験則からエージェントだけでなく、転職サイトにも情報を登録した。

 

地方都市はエージェントよりも転職サイトの活用が鍵

転職回数が3回を超えてからは日系企業は基本的に門前払い。それでも、東京ではバイリンガル×人事の人材ニーズが高く、外資系の転職エージェントからは案件情報が常に得られた。

 

ところが、Iターン転職は英語力を必要とされるケースが少ない。この時点でかなりの向かい風を感じていた。

 

それでも、応募可能な母数を増やさないと前に進めない。そこで、今回は案件数は間違いなく多いリクナビNEXTを中心に案件を探すようにした。

 

バックオフィス求人は皆無。営業かエンジニアはIターンのチャンスあり

予想通り、北海道には外資系企業の案件はほぼ皆無。

 

さらに人事の求人も限りなくゼロに近い。バックオフィスだと経理はあっても人事はないという感じだった。

 

それもそのはず、人事は通常は正社員数が50名前後になって初めて独立した機能になり、本社に設置するもの。

 

中小企業か大企業の営業拠点が多い札幌に人事の案件が少ないのはすぐに理解できた。新たなチャンスを得るには東京のやり方を捨てなければならないことがわかった。

 

転職Tips

地方都市へのUターンIターン転職は職種が限定される。特にバックオフィスは厳しい。不動産や保険営業、リクルートの営業、ITエンジニアなどはチャンスあり。

 

Iターンは年収大幅ダウン必至。時間を取るかお金を取るか。

リクナビNEXTのアプリを毎日のようにチェックしながら、いくつかのシナリオを毎日ひたすらシミュレーションした。

 

年収ダウンは必至、さらに転居費用もかかるので経済的なダメージは避けられない。それでも、このまま数年東京で働くイメージも持てない。

 

あとは運とタイミングのみ。職種よりも札幌行きを優先したい

気持ちは葛藤を抱えたままだったものの、Iターン転職の選択肢は以下のパターンしかないことがはっきりした。

 

  1. 未経験可の営業系の仕事(人材系なら尚可)
  2. 給与計算のアウトソーサーの仕事
  3. 英語力を活かせる未経験可の仕事
  4. 東京にレポートする人事の仕事

 

ボリューム的には1の可能性が7割、2が2割、3と4は足して1割という感覚値だった。

 

意外にもLinkedIn経由で2社の書類通過。

最初はLinkedInで偶然札幌勤務の外資系の案件がいくつかあり、応募した。

 

人事と営業の案件で面接に進むことができた。いずれも英語力は活かせそう、人事の案件は経験をフルに活かせて最高だった。

 

結果は、残念ながら2社ともNG。直接応募だったので細かい理由はわからないが札幌に行きたい理由が東京の偉い人には伝わらなかったようだった。

 

キャリアアップに魅力を感じないという話は東京の人には刺さらない

それでも、東京でのキャリアアップをステータスにしている人にIターンの志望動機が伝わるはずがなかった。

 

札幌は小学生の時に函館からの日帰り旅行で一度行っただけ。函館も出身ではなく母の故郷というだけ。千葉県出身で仕事は東京のみ。

 

これでは、東京で出世を果たしてきたお偉いさんには意味不明なヤツとしか映らなかったのだと思う。

 

ただ、北海道への気持ちは強く、誰かに認めてもらう必要はなかった。この感覚のミスマッチこそが東京から離れたい理由そのものだったからだ。

 

転職Tips

本音の転職理由を語ると面接でNGをもらいやすくなる。それでも、転職の主役は自分。たくさんの内定をもらう必要はない。本当に合った会社に入ることが重要。借り物の転職理由はやめよう。



面接で札幌へ。北海道への移住欲が最高潮に

とはいえ、この時の気持ちの行き詰まりは極限に近かった。

 

それでも、少しでも将来の希望をもって気持ちをつないでいた。

 

そんななか、札幌本社の会社の最終面接に進み、札幌へ行くことになる。

 

初夏の札幌はカラッとした晴天、夜は涼しくて最高の気候

Iターン転職前提での応募だったが交通費は自腹。それでも、函館しか知らずに北海道をイメージしていたのでこの機会は貴重だった。

 

2016年は年末年始と6月に函館、7月に札幌に来たので、半年で3回も北海道に来たことになる。

 

今、振り返ると、来札初日に移住への気持ちはほぼ固まってしまった。きっかけは間違いなく、この大通公園の広い空と公園の綺麗な緑だったと思う。

 

夜にはタクシードライバーの方に聞いた地元の美味しいジンギスカンのお店へ。新鮮なラム肉、そして、ジョッキで飲むサッポロクラシック。これは反則だと思うくらい美味しい。

 

そんな札幌滞在から東京に戻り、面接の結果を待つことに。

 

北海道にすぐ行くか?当面の年収維持を取るか?

この期間にリクルーティングの分野では世界的な外資系企業の東京オフィスの選考も進み出した。

 

いずれ札幌に異動してもらえるという条件で選考に進み、2年以内の異動OKの条件でオファーをもらった。そして、ほぼ同時期に札幌本社の会社からの内定が出た。

 

しかし、ここで大きな決断に迫られることになる。年収が300万円以上ダウンで北海道にすぐに行くか、2年待つかのを決めなければならなかった。

 

転職Tips

どうしても転職の可能性を広げたい時はベースとなる経験を他の職種に活かせないか考えることが重要。その場合は年収ダウンは当然覚悟しなければならない。

Shin@多国籍組織づくりサポート: 企業人事として早10年、日系ベンチャーや外資系企業で人事系の業務改革や立ち上げに従事。模範的な会社員の働き方が体質に合わず、独立、Iターン転職@札幌、オール外国人の日本法人の立ち上げなど、一度きりの人生なので常に全力投球をモットーに活動中。