社会人になって数年が経過すると会社の良さは規模や知名度では計れないと感じることが出てくると思います。
実際に、有名企業社員に仕事への満足度を聞くと、仕事への満足度よりも生活の安定を優先した結果、転職していないという人が多いです。
一方で、大企業でくすぶるよりはベンチャー企業に転職して、密度の高い経験をするほうが将来のキャリアアップにつながるという声もあります。
思い切って転職して後悔することがないように、大企業を離れる時に必要な覚悟をまとめてご紹介します。
今回のトピック一覧
1.ハイリスク・ハイリターンを覚悟する
「大企業よりもスピード感があり、仕事の幅を広げやすい」のがベンチャー就職・転職のメリットとして挙げられます。
ここでの注意点は、大企業時代の仕事の仕方を捨てて、大企業とは大きく異なるベンチャー企業のカルチャーに順応できればの話だということです。
そうならないために、以下でご紹介するリスクとリターンを転職を決める前に押さえておきましょう。
(1)仕事面で想定できるリスク
大企業の時は当たり前にあったネームバリュー、オフィス環境、組織のゆとりはベンチャー企業にはありません。
そのため、以下に挙げる機会を会社が与えてくれることはない(あればラッキー)と考えておきましょう。
転職で捨てるもの
- 予算規模が大きい仕事に関わるチャンス
- 転職不要のキャリアチェンジのチャンス
- 長年息づいた企業文化に接する機会
- 人生経験豊富なシニア層との接点
- 知名度(肩書き)を活かしたネットワークづくり
何かを得るときは、捨てる決断が先です。転職してから当たり前のものがない不便さを乗り越えればリターンを得るチャンスに遭遇しやすくなります。
(2)仕事面で得られるリターン
大企業では得られない最大のリターンは短期間で(良いことも悪いことも含めて)多くの経験を積めることです。
大企業のように組織が固まっていないため、以下のようにひとつひとつの仕事から濃い学びを得られるでしょう。
転職で得られるもの
- 自分の仕事が会社の成長につながっている実感
- 経営者目線で事業にかかわる経験
- 入社年次に関係なく昇進するチャンス
- 会社全体の動きを感じながら仕事をできる機会
ベンチャー企業では大企業ほどの資金の余裕や社会的信用がないため、短期間で実績を残し、拡大していく必要があります。
このスピード感やチャレンジ精神を楽しめれば、大企業よりも日々の仕事にやりがいを見出せます。
全く違うカルチャーに移るのは想像以上にストレスになるので、ベンチャー転職はハイリスク・ハイリターンと覚悟しておきましょう。
また、事前のリサーチが重要になるため「転職の企業研究で必ずチェックすべき5項目を徹底解説」で紹介しているポイントは押さえておきましょう。
2.ワークライフバランス、待遇(年収、福利厚生)への期待を捨てる
ベンチャー企業は、将来性を期待されて外部から資金調達しているケースが多いため、一定期間で期待に見合う成長が求められています。
そのため、期待された成果をあげられれば、ワークライフバランスや待遇が徐々に良くなっていくのが一般的な流れです。
この点を踏まえて、あなたが両側面で変化に対応できるかをセルフチェックすることが重要です。
(1)ワークライフバランスは大丈夫か?
特に急成長フェーズの会社は事業の拡大ペースに採用が追いつかず、既存メンバーの長時間労働で成長速度を維持することがあります。
そのため、出産・育児、親の介護が重なる場合は、家族の理解を得られなければプライベートへの負荷は非常に大きくなります。
会社が成長していくにつれて、プライベートへのケアが増えていきますが、数十名で急成長している会社の場合はある程度の覚悟が必要です。
(2)将来性を信じて我慢できるか?
スタートアップの段階で入社し、大企業になるまで成長を共にできたときのリターンは大きいですが、それまでは我慢が必要です。
ベンチャー転職で諦める待遇
- 各種手当(住宅手当、資格手当等)
- 長めの休暇(夏季休暇や有給の傷病休暇等)
- 退職金
- 業績賞与
大企業では当たり前であった待遇もベンチャーでは、全ては成長の見返りとして初めて手に入ります。
ワークライフバランスや待遇面でも、ハイリスク・ハイリターンになると考えていれば、転職後に後悔することはなくなるでしょう。
ワークライフバランスを考える場合は「転職でワークライフバランスを見直すための3つのポイント」を一度ご覧ください。
3.社会的信用のダウンを気にしない
ネームバリューがある大企業で仕事をしている時には気づかないのが、所属企業名があなた自身の社会的信用に直結しているということです。
頭ではわかっていても、実際に体験すると大きなギャップに驚くことがあります。
想定される2つの大きな変化を受け入れられるかを確認できるかをチェックしましょう。
(1)名刺を武器にできなくなる
ネームバリューがある大企業であれば、社名を伝えただけで安心してもらえるため、営業面での効果は絶大です。
もし知名度が低いベンチャーであれば、あなた自身の人柄、サービスの質だけで勝負しなければなりません。
転職後でも、出身企業の名が通っていれば、人脈づくりや営業時の信頼獲得にプラスになるほど大企業の看板は力を持っています。
この看板を下げて、あなた自身の力を試したいという気持ちになっていなければ、ベンチャーへの転職はオススメできません。
(2)金融機関の評価が渋くなる
さらに大きな影響が出るのが、金融機関からの信用面です。
仕事面では大活躍し、高収入を得ていても、金融機関には、勤務先の財務体質、創業時期等を含めて、機械的に審査されます。
想定されるケース
以下の2名が勤続年数と年収が同じであったとしても審査結果は大きくな差が出る可能性があります。
- 設立10年未満の会社に勤務するAさん
- 就職人気ランキングトップ10に入る会社で働いているBさん
ベンチャー企業で社会のために必死に働いている人よりも、決められた仕事を淡々とこなす人のほうが信用されるのは不公平にも思えます。
しかし、それが、現実です。その不条理をエネルギーに変えるだけの気概がなければ、ベンチャー企業で頭角を現すのは難しいでしょう。
まとめ
常にトレードオフ(何かを得るために、何かを捨てる)を想定しておかなれば、転職を後悔することにつながります。
ベンチャー企業は会社の成長に貢献できれば、在籍期間に関係なく、短期間で昇進し、場合によっては数年で経営幹部まで昇進できることもあります。
そのような機会がある一方で、大企業で得られる安定や社会的信用を捨てることにもなります。
常にリスクとリターンの両側面をチェックして、後悔ない転職活動をしましょう。