税理士資格の取得は会計のプロとしての転職に役立つ?

税理士は国家資格のなかでも知名度が高く、弁護士や会計士と並んで難関の資格であると認識されています。一昔前は、資格取得後は独立開業をして、高給取りになることができる資格の代表格でもありました。

 

各科目の難易度が高いため、合格までの勉強期間は3年から5年と言われています。合格率は10%台後半の年もありますが、学習期間の長さから見ると、税理士が難関資格であることを伺い知れます。
 

 

資格としての社会的信用は非常に高いものの、職業として自分自身に適性がなければ、せっかくの努力が台無しになってしまいます。そこで、今回は税理士に関する情報をおさらいしていきます。



税務の代行以外も税理士の業務範囲に

税理士のクライアントは個人から法人まで幅広く、会計から税務まで一気通貫でサービスを提供していることが多いです。企業を経営する上での節税対策や、税務申告の代行、融資の獲得などさまざまな業務をおこないます。このような代行業務以外にも、税金に関する相談に対しアドバイスすることも税理士の仕事です。

 

近年では税理士の業務も多様化しており、企業の経営コンサルティング業務や、合併、買収などのアドバイザーを務めることもあります。税金の種類は多数あるため、「創業に強い税理士」「相続に強い税理士」といったかたちで特定の分野に強い税理士という看板を掲げて事業を行うのが現実的です。

 

税理士と会計士の仕事内容はどう違う?

公認会計士には、「監査証明業務」という独占業務があります。これは企業の決算書を見て、間違いがないか、怪しいところはないかチェックするものです。その後、問題が無ければ監査報告書を発行します。

 

公認会計士の仕事内容は、この監査証明業務が大半と言われているため、クライアントは企業が多いのが特徴です。企業の規模に関しても、税理士は中小や零細が多いのに対し、公認会計士は大企業がクライアントであることが多いと言われています。そのため、取り扱う金額も公認会計士の方が大きい傾向にあります。

 

税理士試験を目指す前に確認しておきたいこと

税理士になるには、毎年実施されている試験に合格することが一般的です。受験前には受験資格が設けられているため、事前にその要項を満たしているかの確認が必要です。

 

税理士の受験資格国税庁ウェブサイトより)

(1) 学識による受験資格

 イ  大学又は短大の卒業者で、法律学又は経済学(※1)を1科目以上履修した者 証明書類
 ロ  大学3年次以上で、法律学又は経済学(※1)を1科目以上含む62単位以上を取得した者
 ハ  一定の専修学校の専門課程(※2)を修了した者で、法律学又は経済学(※1)を1科目以上履修した者
 ニ  司法試験合格者
 ホ  公認会計士試験の短答式試験に合格した者(※3)

(2) 資格による受験資格
 イ  日商簿記検定1級合格者(※4) 証明書類
 ロ  全経簿記検定上級合格者(※5)
(3) 職歴による受験資格

 イ  法人又は事業行う個人の会計に関する事務(※6)に2年以上(※7)従事した者 証明書類
 ロ  銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上(※7)従事した者
 ハ  税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上(※7)従事した者

 

社会人にはありがたい科目合格の繰り越し可能なのが特徴

5つの科目を受験し、すべて60%以上の正答率であれば合格となります。この科目に関してですが、5つ同時に合格とならなくてもいいのが税理士試験の特徴です。

 

“試験は、会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません。)について行われます。
なお、、「税理士試験は科目合格制をとっており、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいことになっています。”税理士試験の概要:国税庁ウェブサイトより)

 

そして、落とした科目は次回受けられたり、大学で履修していた授業によっては科目を免除できたりするので、人によって合格への過程は変わってくるでしょう。

 

税理士試験に合格後のキャリアはどうなる?

税理士の資格を取ったからといって、すぐに税理士として活動できるわけではありません。最低でも2年の実務経験が必要なので、資格取得後は会計事務所や税理士事務所で働くのが一般的です。

 

初任給は20万前後になることがありますが、勤続年数や実績によっては1000万円以上を目指せる職種です。また、個人・法人の垣根なくサービスを提供できるため、独立開業を目指す人が多いのも税理士の特徴です。

 

開業税理士として生き残るには顧客基盤の確保が必須

一方で、近年は会計・税務に関するウェブサービスが多数リリースされており、開業や決算書の作成などは専門知識がなくても十分に進められるようになりました。

 

その影響もあり、会計・税務の事務代行のみで報酬を得るのは難しくなっているため、事務所としてのサービスの強みを打ち出し、営業活動をしなければ生き残れない時代に入っています。

 

会社員としてのキャリアアップを目指すことも可能

民間企業での勤務を目指す場合は、税務のアドバイザリやコンサルティングを行っている大手の会計系コンサルティングファームやプライベートイクイティファンドなどでは税理士有資格者は優遇されます。

 

さらに、英語もできると外資系のファームに転職出来る可能性が出てくるため、選択肢が増えると同時に年収アップの機会も増えるでしょう。



Shin@多国籍組織づくりサポート: 企業人事として早10年、日系ベンチャーや外資系企業で人事系の業務改革や立ち上げに従事。模範的な会社員の働き方が体質に合わず、独立、Iターン転職@札幌、オール外国人の日本法人の立ち上げなど、一度きりの人生なので常に全力投球をモットーに活動中。